給与計算チェックリスト|工程ごとの確認項目とチェック方法を整理

目次

 

給与計算をするときに、チェックリストを使っている方も多いのではないでしょうか。

チェックリストがあれば、確認する項目が分かるため、給与計算の抜け漏れを防ぐためにも役立ちますよね。

一方で、

「なぜ、この項目を確認しているのだろう?」

「このチェックリストを全部確認できたら、なぜ給与計算を完了してよいのだろう?」

と考えたことはありますでしょうか。

チェックリストに書かれているから確認しているけれど、その確認が給与計算業務のどの部分を確認するためのものなのかまでは、意識する機会が少ないかもしれません。

そこで本日は、給与計算のチェックリストについて、

「何を確認するのか」だけではなく、「給与計算のどの工程を完了するための確認なのか」

という視点から考えてみたいと思います!(^^)!

給与計算チェックリストでは何を確認する?

給与計算では、さまざまな項目を確認します。

僕が実務で行っていた確認を、給与計算の工程ごとに整理すると、たとえば次のようになります。

工程 確認項目の例
給与設定後 変動事項、入社者情報など
給与入力後 前月比較、人数、各種合計額、住民税、社会保険料、変動事項の反映確認など
データ抽出後・納品前 必要な納品ファイル、加工内容など

このように確認項目を一覧にすると、「給与計算では何を確認するのか」が分かりやすくなりますよね。

これらは、前回の記事でご紹介した僕の実務上の確認項目を、工程ごとに整理したものです。

では、この表に記載されている項目をすべて確認できたら、給与計算業務は完了したと考えてよいのでしょうか?

ここをもう少し考えてみたいと思います。

チェックリストの項目をすべて確認すれば給与計算は完了?

給与計算業務を行う際に、チェックリストを活用している方も多いのではないでしょうか。

一方で、

「このチェックリストに記載されている確認項目で十分なのだろうか?」

と、チェックリストそのものについて考える機会は、それほど多くないかもしれません。

月次の給与計算業務を行うだけでも時間がかかります。

そのため、チェックリストそのものを見直す時間を確保することが難しい場合もあると思います。

また、時間を確保できたとしても、

「そもそも、何を基準にチェックリストを見ればよいのだろう?」

と悩むこともあるのではないでしょうか。

たとえば、前任者から引き継いだチェックリストやマニュアルを使って、毎月の給与計算を行っているケースを考えてみましょう。

毎月発生する処理については、チェックリストやマニュアルに沿って確認できていたとします。

しかし、年に数回しか発生しない処理などが、そもそもチェックリストやマニュアルに記載されていなかったらどうでしょうか。

担当者は、チェックリストに記載されている項目については、すべて確認しています。

それでも、チェックリストに記載されていない処理については、確認することができないかもしれません。

つまり、

チェックリストに記載されている項目をすべて確認したことと、給与計算業務全体で必要な確認ができたことは、必ずしも同じではない

ということです。

では、自社で使っているチェックリストに必要な確認項目が含まれているのか、どのように考えればよいのでしょうか。

そこで、チェック項目だけを見るのではなく、給与計算業務の「工程」から考えてみます。

給与計算業務を工程ごとに分けて確認事項を整理する

給与計算の確認事項を考えるときには、一度、給与計算業務そのものを工程ごとに分けてみます。

僕が実務で行っていた給与計算をもとにすると、たとえば次のように整理することができます。

設定 → 確認 → 入力 → 確認 → 抽出 → 確認

です。

給与設定→確認

給与設定を行い、その設定内容に誤りがないかを確認します。

給与入力→確認

給与情報を入力し、その入力内容に誤りがないかを確認します。

データ抽出→確認

給与データを抽出し、必要なデータが正しい体裁で作成されているかを確認します。

このように給与計算業務を工程ごとに分けると、

「この工程を完了するためには、何を確認する必要があるのだろう?」

と考えやすくなります。

チェックリストに載せる項目を先に集めるのではなく、

給与計算業務を工程に分ける
↓
それぞれの工程を完了するために必要な確認事項を考える

という順番です。

こうして考えてみると、今使っているチェックリストについても、

「この確認項目は、どの工程を完了するためのものなのだろう?」

と見ることができます。

工程ごとに「確認対象・照合元・完了条件」を決める

それぞれの工程で必要な確認事項が分かったら、次に確認方法を考えます。

ただ「確認する」といっても、具体的に何がどうなっていれば「確認できた」といえるのか分かりにくいですよね。

そこで僕は、

確認対象・照合元・完了条件

の3つに分けて考えています。

何を確認するのか|確認対象

まず、「何を確認するのか」を決めます。

たとえば、住民税、社会保険料、給与計算人数など、「今回何を確認するのか」という部分です。

何と照合するのか|照合元

次に、その確認対象を「何と照合するのか」を決めます。

給与データだけを見て確認するのではなく、確認するための元資料やデータを明確にします。

どうなれば確認完了なのか|完了条件

最後に、「どうなれば確認完了なのか」を決めます。

確認したという行為だけではなく、

何をもって「この確認は終わった」と判断するのか

を明確にします。

この「確認対象・照合元・完了条件」については、前回の記事で詳しくお伝えしていますので、あわせて参考にしていただけると嬉しいです!(^^)!

今回の記事では、この3つを給与計算業務の工程と結びつけて考えてみます。

給与計算の工程ごとのチェック項目

それでは、僕が実務で行っていた確認をもとに、工程ごとのチェック項目をもう少し具体的に見てみます。

給与設定後のチェック項目

給与設定後には、変動事項や入社者情報などが、給与システムへ正しく設定されているかを確認していました。

たとえば、当月の変動事項が記載された資料と給与システムの設定内容を照合します。

ここでは、

「元資料に記載された変更内容が、給与システムへ正しく設定されているか」

を確認するイメージです。

給与入力後のチェック項目

給与入力後には、前月比較、給与計算人数、各種合計額、住民税、社会保険料、変動事項の反映などを確認していました。

たとえば、給与計算人数であれば、

前月の給与計算人数+当月の入社者等-当月の退職者等

と、当月の給与計算人数を確認します。

住民税であれば、

前月の住民税合計+/-当月の変動事項

と、当月の住民税合計を確認します。

社会保険料については、給与システムから出力した増減票などを使い、人数、健康保険料、厚生年金保険料、標準報酬月額の合計などを確認していました。

このように、給与入力後には、

「今回の給与計算に必要な情報が、給与データへ反映されているか」

という視点から確認していきます。

データ抽出後・納品前のチェック項目

給与計算結果を確認した後は、給与データを抽出して納品物を作成します。

たとえば、給与一覧のExcelを出力したり、必要に応じてシートや列を追加・削除したり、行列を入れ替えたり、ファイル名を変更したりすることもありました。

そのため、抽出後には、

必要な納品ファイルがそろっているか

必要な加工が行われているか

などを確認します。

前月までの納品形式や当月の変更指示、加工マニュアルなどと照合し、

「正しい給与計算結果が、必要な納品物として仕上がっているか」

を確認するイメージです。

各工程の確認が終われば次の工程へ進む

ここまで工程ごとの確認を見てきました。

では、なぜそれぞれの工程で確認するのでしょうか。

もちろん、給与計算の誤りや抜け漏れを防ぐためでもあります。

それと同時に、

「この工程で必要な確認が終わったので、次の工程へ進んでよい」

と判断するためでもあります。

イメージすると、

設定 → 確認完了 → 入力

入力 → 確認完了 → 抽出

抽出 → 確認完了 → 納品

となります。

チェックリストを使っていると、つい「チェックリストの項目にチェックを付けること」が目的になってしまうこともあります。

しかし、本来の目的はチェックを付けることではありません。

その工程で必要な確認が終わったことを判断し、次の工程へ進むためにチェックリストを活用する。

このように考えてみると、今使っているチェックリストを見る目も少し変わってくるのではないでしょうか。

自社の給与計算チェックリストを工程に当てはめてみる

ここまでお読みいただいたら、一度、自社で現在使っている給与計算チェックリストを見てみましょう。

新しくチェックリストを0から作る必要はありません。

まずは、現在あるチェックリストの確認項目について、

「これは給与計算のどの工程を完了するための確認だろう?」

と考えてみます。

自社の給与計算業務を工程ごとに分ける

まずは、自社の給与計算業務がどのような工程で進んでいるのかを整理します。

今回ご紹介している、

設定 → 確認 → 入力 → 確認 → 抽出 → 確認

も、一つの整理方法として参考にしてみてください。

今あるチェック項目を各工程に当てはめる

次に、現在使っているチェックリストの項目を、それぞれの工程に当てはめてみます。

たとえば、

「この項目は設定後の確認」

「これは入力後の確認」

「これは納品前の確認」

というように整理してみます。

各工程に必要な確認が含まれているかを見る

チェック項目を工程に当てはめたら、それぞれの工程を見てみます。

そのときに、

「この工程を完了するために必要な確認は入っているだろうか?」

と考えてみます。

ここで不足している確認に気が付いた場合には、必要に応じてチェックリストを見直します。

確認対象・照合元・完了条件を確認する

最後に、それぞれの確認項目について、

何を確認するのか

何と照合するのか

どうなれば確認完了なのか

を確認します。

こうすることで、チェックリストに書かれている項目について、

「なぜこの確認をするのか」

「何をもってこの工程を完了するのか」

が少しずつ見えてきます。

給与計算チェックリストは会社ごとに異なる

ここまで、給与計算業務を工程ごとに分けてチェックリストを見る方法をご紹介してきました。

ただし、実際の給与計算フローや確認事項は、会社ごとに異なります。

使用する資料や給与システム、会社独自の制度、納品方法なども異なりますよね。

給与計算を受託している場合には、複数の会社について、それぞれ異なる確認事項が必要になることもあります。

そのため、

設定 → 確認 → 入力 → 確認 → 抽出 → 確認

という工程を一つの土台として、自社や各社の実際の給与計算フローに合わせて考えていきます。

自社の給与計算フローに合わせて確認項目を調整する

基本となる考え方は共通していても、実際に何を確認するのかは会社によって異なります。

そのため、自社の給与計算フローに合わせて必要な確認事項を整理していきます。

過去のミスやヒヤリハットも確認項目に反映する

過去にミスやヒヤリハットがあった場合には、それもチェックリストを見るための大切な材料になります。

「次から気をつけよう」

で終わらせるのではなく、

「なぜ今までの確認では気が付けなかったのだろう?」

と考えてみます。

必要であれば、確認項目だけではなく、照合する資料や確認方法、完了条件についても見直します。

給与計算チェックリストをExcelで一覧化する

給与計算チェックリストは、必要な情報を一覧化しておくと確認しやすくなります。

僕の場合は、Excelで一覧化し、必要に応じて紙に印刷して確認することもありました。

紙で確認するときにも、

「何を確認するのか」

「何と照合するのか」

「どこまで確認したのか」

が分かりやすい状態にしておくと、確認しやすくなります。

工程・確認対象・照合元・完了条件を一覧化する

たとえば、

工程|確認対象|照合元|確認方法|完了条件

といった内容を一覧化する方法があります。

これによって、確認項目だけを見るのではなく、

「この項目は、どの工程で、何を確認するためのものなのか」

が分かりやすくなります。

確認済み・確認者・確認日を記録する

必要に応じて、

確認済み|確認者|確認日

なども記録できるようにしておきます。

僕自身も、元資料を紙に印刷して、確認した箇所に鉛筆で印を付けながら確認することがありました。

大切なのは紙かExcelかということではなく、

「どこまで確認したのか」が分かる状態にしておくこと

だと考えています。

修正した場合は再確認してから工程を完了する

チェック中に誤りを発見し、修正することもありますよね。

その場合には、修正して終わりではなく、修正した内容が給与計算へ正しく反映されているかを再確認します。

イメージとしては、

誤りを発見
↓
修正
↓
必要な範囲を再確認
↓
完了条件を満たしていることを確認
↓
工程完了

です。

修正内容によって影響する範囲は異なります。

そのため、必ずすべてを最初から確認し直すということではなく、修正した内容がどこに影響するのかを考え、必要な範囲を再確認します。

そして、改めてその工程の完了条件を満たしていることを確認してから、次の工程へ進みます。

給与計算チェックリストは使いながら見直す

チェックリストは、一度作ったら完成というものではないと僕は考えています。

なぜなら、毎月給与計算をしていると、これまで想定していなかった処理やヒヤリハットが発生することもあるからです。

そのような経験があったときには、

「今回は大丈夫だった」

「次から気をつけよう」

で終わらせるのではなく、必要に応じてチェックリストを見直します。

チェックリストは最初から完成版ではない

最初からすべてのケースを想定したチェックリストを作ることは難しいと思います。

そのため、現在使っているチェックリストを実際の給与計算業務と照らし合わせながら、必要な部分を少しずつ見直していきます。

ヒヤリハットがあったら確認項目・確認方法を見直す

チェックリストに記載された項目をすべて確認したにもかかわらず、ヒヤリハットが発生したのであれば、

「なぜ既存の確認では気が付けなかったのか?」

を考えてみます。

必要であれば、確認対象だけではなく、照合元や確認方法、完了条件についても見直します。

必要に応じて次回の給与計算へ反映する

僕自身も、給与計算が終わった後に確認方法を見直し、必要に応じて次回の給与計算に向けて確認項目を追加・修正することがありました。

経験したミスやヒヤリハットを、

次回の給与計算で行う「確認」に変えていく

というイメージです。

つまり、当月に発生したミスやヒヤリハットを翌月以降に発生しないように対策を実施していくのです(*^^*)

まとめ|工程ごとの確認から給与計算の完了を考えよう

ここまでお読みいただいて、いかがでしたでしょうか。

給与計算チェックリストというと、

「何を確認するのか」

という確認項目に目が向きやすいと思います。

しかし、チェックリストに記載された項目をすべて確認したからといって、それだけで給与計算業務全体に必要な確認ができているとは限りません。

そこで、一度給与計算業務を工程ごとに分けて考えてみます。

設定 → 確認 → 入力 → 確認 → 抽出 → 確認

そして、それぞれの工程について、

「この工程を完了するためには何を確認する必要があるのか?」

を考えます。

さらに、一つひとつの確認について、

何を確認するのか|確認対象

何と照合するのか|照合元

どうなれば確認完了なのか|完了条件

を整理します。

そうすることで、チェックリストに書かれている一つひとつの項目について、

「なぜこの項目を確認しているのか」

「この確認は、給与計算のどの工程を完了するためのものなのか」

が見えやすくなります。

そして、

設定後の必要な確認が終わったから、入力へ進む。

入力後の必要な確認が終わったから、抽出へ進む。

抽出後の必要な確認が終わったから、納品へ進む。

というように、チェックリストと給与計算業務の流れがつながってきます。

まずは現在お使いのチェックリストを見ながら、

「この確認項目は、給与計算のどの工程を完了するための確認だろう?」

と、一つの項目から考えてみてはいかがでしょうか。

また、

「何を確認するのか」「何と照合するのか」「どうなれば確認完了なのか」

という給与計算の確認方法については、前回の記事でも詳しくご紹介しています。

あわせて参考にしていただけると嬉しいです!(^^)!

 

給与計算のチェック方法|確認項目だけでなく「どう確認するか」まで考える